ハイケムは、トウモロコシ由来のPLA(ポリ乳酸)繊維「ハイラクト」の最新コレクションを発表した。耐久性や耐熱性が低いPLAで開発が難しいとされていたフリースのジャケットとフーディーなどを作った。「生地メーカーと製品を開発し、ブランドとは色々な見せ方を試みて(PLAの流通を)加速させたい」(瀧本英治ファッション・アパレル部部長)考え。
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開発は、石油由来のポリエステルをPLAに置き換え、環境負荷を低減する狙いで、約3年前に着手した。フリースは、生地を起毛する時に耐久性が求めらられるほか、「染色の際など熱をかける工程がある」。糸種を変えたり、生地染色から仕上げの各工程では温度などを細かく調整したり試行錯誤を重ねた。
岡山のデニムメーカーと共同開発した「PLAデニム」は、経糸にインディゴで染めたコットン、緯糸にPLA100%の糸を用い、コットンの使用量を抑えた。カーゴパンツはPLA100%のスパン糸で織ったチノで仕立てた。
環境への意識が高く需要がある欧米に対し、日本のファッション業界でPLAが認知されるようになったのは「この数年との実感で市場はあまりない」と見る。ブランドの定番品で採用される例は増えつつあるが「盛り上がりがまだ足りない」のが課題だ。
課題の解決には「製品の基幹技術を開発する必要がある」と話す。製品化の技術ができれば生地メーカーがそれを基に客にあった生地を作れるようになる。提案の幅が広がれば需要が増え、改善を繰り返しながら市場を活性化できると期待する。今回の発表はその一歩となる。
昨年から海外でも意欲的に営業し、中国を皮切りに欧州にも販路を拡大。海外からの問い合わせは1年間で急増し、今年に共同開発を始めた欧州企業は約30社になった。PLAデニムも海外ブランドからの「加工工程での水使用量を減らしたい」との声がきっかけになった。現在、複数のブランドとPLA100%のデニムも開発中だ。今後は米国にも注力し、採用や販路を増やす。