阪急うめだ本店 21年度には売上高2700億円へ

2019/01/08 06:30 更新


 阪急阪神百貨店は、阪急うめだ本店の売り上げの拡大に向け、19~20年にかけて中層階を改装する。同店の18年度売上高は2500億円を上回る見込みで、改装効果などで21年度には2700億円まで伸ばす方針。また、19年度から管理会計項目に新たに「価値創造費」を設ける。継続的に店の魅力を高めていくための費用と位置付けている。

(吉田勧)

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25カ月連続増収

 改装の対象は6~8階で、①ジュエリー&ウォッチの拡大②リビング売り場のライフスタイル提案型への見直し③土日・平日でもベビーカーを押して来店する「高感度アーバンファミリー」に対応するライフスタイル提案の構築――の三つをポイントにする。2年間で30億円程度を投資する。

 この中層階の改装は、15年秋から段階的に取り組んできた1~5階ファッションフロアの、消費マーケットの変化に対応した改装が成果を上げているためだ。同店の全館売上高は18年12月で25カ月連続の増収となった。17年度の売上高は前年比9%増、18年度も4%台の増収を見込むなど、この間の改装効果が売り上げを押し上げている。なかでも3階モードゾーンは引き続き「成長率が高い」(荒木直也阪急阪神百貨店社長)という。中層階の改装により、全館売上高を3年間で200億円上乗せする計画だ。


未来への投資

 19年度から予算化する価値創造費は、「未来価値創造費」「現在価値向上費」といった項目で計上する。実際の支出内容としては、出張やコンサルティング、業務委託、装飾費などを見込んでいるが、価値創造費の下に置く「オペレーションコスト」と分けて予算を計上することで、〝未来への投資〟を明確化する。

 ある時点では未来価値創造費だったものが、いずれは現在価値向上費やオペレーションコストに移行し、新たな未来価値創造費を計上する流れを想定している。「店の価値やフロア価値を、リテーラーとして我々自身がシナリオを描いて、それを実現していくことが生き残っていくための分かれ目になると思っている。それを実現していく力を付けることに投資していく」ものだ。百貨店事業粗利益の1%程度を価値創造費に充てる。価値創造費は、今後の百貨店事業に欠かせない「虎の子」として、「苦しくても、この費用は削減しない」考えだ。



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