「日本の繊維・ファッションビジネス業界から、世界の大富豪を5年で作るべき」。そう話すのは米国在住の社会起業家でVPL社CEO(最高経営責任者)の花澤菊香さんだ。しかも、目指す例に挙げたのは今年、世界の長者番付で首位になったLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのベルナール・アルノー会長兼CEO。豊かな文化を収益化する手法は絵空事ではないとの確信から、「世界市場に出て行く際にはお手伝いする」と話す。
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「日本とフランスは似ていて、言語という壁で自国を守ってきた側面がある」と。自国の市場がある程度大きかったことも背景にあるが、00年代初頭から違ってきたのが教育だ。フランスは「国策として義務教育で自国の文化を教えてきた。20年以上それを受けた人々が育ち、芸術と文化の塊であるLVMHの今がある」と分析する。
日本は教育では弱くても、全国各地にある文化資産は豊かで、負けていない。「LVMHのパーツは、たくさんある。酒もファッションも化粧品も」。どんな地方に行っても有数のコンテンツがある国であり、「これらのパーツを組み合わせ、オペレーションを最適化すれば、世界一の大富豪が出てもおかしくない」というわけだ。
日本各地の〝お宝探し〟と様々な産業界を結び付け、世界への発信を手伝いたいという花澤さん。日本の繊維・ファッションビジネス業界にとって、心強いサポーターになりそうだ。