ゴールドウイン 構造たんぱく質素材で量産品 4ブランドに採用

2023/03/27 06:30 更新


表地にBPを60%使うヌプシジャケット(税込み11万円)

 ゴールドウインは3月24日、構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」(BP)の量産体制が整って初となるコレクションを発表した。「ザ・ノース・フェイス」(TNF)など4ブランドの23年秋冬物で採用し、1型数十着レベルだった販売点数は、数千着に増える。

(杉江潤平)

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 BPはバイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市、関山和秀取締役兼代表執行役)と共同開発している植物由来の構造たんぱく質素材。22年春にタイ・ラヨン工場が本格稼働し、BPのポリマーの量産体制が整い、またそれに伴い鶴岡の紡糸設備の生産能力も大幅に引き上げたため、これまでより規模を拡大した製品の製造が可能になった。

 BPを採用するのは、TNFと「ゴールドウイン」「ウールリッチ」「ナナミカ」の4ブランド。各ブランドを代表する計15のアイテムで使用し、フットウェアにも初採用する。TNFの「ヌプシジャケット」や「ヌプシブーティ」、ザ・ノース・フェイスパープルレーベルの「シエラパーカ」、ゴールドウインブランドの「クロスフィールド3Lジャケット」、ウールリッチの「フューチャーアークティックパーカ」、ナナミカの「バルマカーンコート」などでBPを使う。小売価格は従来品に比べ、おおむね2倍程度となる。

 9月上旬に東京・丸ビル1階に全コレクションを販売する期間限定店を設けるほか、ゴールドウインとナナミカは海外直営店でも販売する。TNFとウールリッチは海外事業者と連携し、グローバル販売も予定している。

 同社は30年までに全製品の90%以上で環境配慮型素材の使用を決めており、発表会見で渡辺貴生社長は「そのうちの10%はBPを使う」と宣言。価格も既存商品でBPを使う場合、「30年までには同水準にしたい」と強調した。

 今後も、BPの用途開発や生産増強は進む。リアルファーの代替品となる素材は、「実用化の直前まで来ている」という。タイの生産能力は、23年度は240トン、24年度には500トンに引き上げる計画。米アイオワ州では、穀物メジャーのADM社と量産体制構築に向けた準備を進める。

発表会ではトークショーも開催(写真左から為末大ゴールドウイン社外取締役、関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役、渡辺貴生ゴールドウイン社長、ファッションデザイナーの中里唯馬氏、宮田裕章慶應義塾大学教授)


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