福助 今期から「攻めの経営」 健康切り口の商品開発

2018/05/28 06:29 更新


福助 田坂寛社長

 福助は今期からの3カ年計画で「攻めの経営に転じる」(田坂寛社長)方針を掲げた。「安心」「快適」「健康」「美」を主要キーワードに、主力ブランドのブラッシュアップや新商材の開発、店舗・イベント・ウェブ・SNSを多面的に活用した消費者接点の強化などを進める。また、自動化・省力化への対応、生産や物流の新たな仕組み作りにも力を入れる。

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 18年3月期の業績は売上高、利益共にほぼ前年並み(17年3月期売上高は261億円)だった。商品、販路別で業績の差はあったが、ブランドの絞り込み、コストの削減や協力メーカーの集約化など、事業の再構築を先行させた。生産基盤維持のためにも、今期からは事業拡大に転じる構え。3年後に税引き後利益10億円を安定的に出す体質を目指す。

 4月の組織改編では、ビューティー&ヘルスケア部をメディカル部に改称。ハイレベルの医療向けレッグウェア、災害時にエコノミークラス症候群を予防する弾性ストッキングなどを本格化する。

 新技術開発室も新設し、独自性を支える新技術の開発をさらに強化していく。レジャーシーンや製造・作業現場対応の高機能レッグウェアなどを開発課題に挙げる。

 主力NBの「満足」は比較的年齢の高い層を対象に安心、安全イメージに機能性を加え、ランニングやウォーキングシーンを絡めて提案。「fukuske」は若年層に向けて、和テイスト、可愛さの訴求を一段と強める。

健康で快適なライフスタイルを提案する「満足」

 福助人形の活用、「ベアブリック」との協業、「ニコニコ超会議」への初出展など、様々な機会を捉えて露出を増やす。ショップ展開は現在、直営・FC7とアウトレット24。直営は店舗拡大より、福助の世界観を表す拠点としての位置付けを重視。今春に百貨店で開設したスーツ専用ソックス店が好評で、こうした期間限定店は積極化する考え。また、アウトレットは、地域特性を意識した品揃えや店舗構成に変えていく。

 ネット販売は引き続き好調で、前期も数十%の伸びを確保した。ロイヤルカスタマー10人を本社に招き新商品の紹介やアーカイブの説明を行う試みも今春から開始している。リアルイベントや店舗との相乗効果を生かし、自社サイトにおけるUX(ユーザーエクスペリエンス)、UI(ユーザーインターフェイス)の向上を徹底しながら、さらに拡大する。

 一方、生産面では、鳥取、熊本、蘇州の自社工場が堅調。ただ、70%の海外生産の大半が中国のため、ベトナムをはじめASEAN(東南アジア諸国連合)生産を一定強化する方針。ESG(環境・社会・ガバナンス)、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮したメーカーと生産基盤を確立する。国内外共通して自動化・省力化、ICタグ活用の検討も本格化。単独の取り組みだけでなく、トヨタグループの知見の活用、日本靴下協会メンバーとの協業なども進めていく。



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