【ファッションとサステイナビリティー】タキコウ縫製社長 滝川進さん 廃棄ビーズを最大限活用

2024/05/30 05:29 更新


商品を循環させるための仕組み作りに注力する滝川進さん

 頭からかぶれるビーズクッション「着るビーズクッション」で注目を集めるタキコウ縫製(愛知県岡崎市)は「SDBs」と称し、使用済みビーズの回収・再利用の仕組みを構築している。子供が環境について体験、学べる場作りにも注力し、24年、先進的サービスの提供事業者に贈られる「あいちサービス大賞」特別賞を受賞した。

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 20年にビーズクッションのビーズの回収・再利用を始めました。19年に台湾を訪れた際、日本以上にプラスチックフリーの取り組みが進んでいるのを見て、ビーズクッションも持続可能な商品にしなくては、と危機感を持ったのがきっかけでした。

 考えたのは、使用済みビーズを回収し再利用すること。ビーズクッションは使っているうちにビーズが硬く、小さくなり、手応えがなくなってしまうため、一定期間経ったら交換が必要です。そこで、ビーズの発泡機メーカーと共に、回収したビーズを25%利用したグリーンポットとサーフボードを開発しました。

廃棄ビーズを25%使ったグリーンポットは7色ビーズを使い軽く、華やかに仕上げたものもある。植物を暑さや寒さから守る。

 並行して、お客様から使用済みビーズを回収する仕組み作りも進めました。課題となったのは、古いビーズをどうやって回収するか。お客様に送ってもらうには高額な送料と手間がかかってしまいます。そこで地元配送業者と相談し、新しいビーズの配達と同時に古いビーズを回収する仕組みを作りました。お客様はビーズが届いたらすぐ交換し、古いビーズを箱に詰め、その場で配達業者に渡して着払いで送り返すだけ。ドライバーの時短やガソリン代節約にもなります。21年2月から、1000個(2トン)以上を回収しています。

 再利用の技術や環境意識を子供にも知って欲しいと、体験サービスも始めました。全国のビーチにある発泡スチロールごみを子供たちと回収し、ビーズと同様の技術でサーフボードに加工。そのボードで子供向けサーフィンスクールをするものです。21年からこれまで計2回を全国3、4のビーチで開催し、年40~50人が参加しています。

 ほかにも、裁断ロスの生地や、使用済みビーズで作ったぬいぐるみに、色を塗ったり端切れを貼ったりしてオリジナルぬいぐるみを作るワークショップも開催。23年8月に横浜のイベントに出店した際は、350人以上が参加しました。「遊びながらサステイナブルな考えを学べる」と、保護者からも好評でした。

 今はまだ回収したビーズを使い切れていないのが現状です。今後も継続しながら、利用方法やリサイクル方法を更に広げていきたいと考えています。

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(繊研新聞本紙24年5月30日付)

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