【ファッションとサステイナビリティー】オンワード樫山サステナブル経営グループサステナブル経営Div.長 山本卓司氏 衣料品の循環システム構築へ

2023/09/26 05:29 更新


山本卓司氏

 オンワード樫山が09年にスタートした、衣料品の循環システムの構築を目指す「オンワード・グリーン・キャンペーン」が広がっている。不用になった自社衣料品の引き取りと参加者は年々増加傾向で、リユース商品を販売する「オンワード・リユースパーク」(東京・吉祥寺)は来年10周年を迎える。今期(24年2月期)から、グループ全体のサステイナブル(持続可能な)経営を推進するプロジェクト「グリーン・オンワード」を開始するなど、さらに活動が進んでいる。

 09年の衣料品引き取りスタート時は、まだ業界でSDGs(持続可能な開発目標)や環境への関心が低かったと思いますが、「我々に何かできることはないか」と、自分たちで販売したものを引き取ることを始めました。店頭でお客様から引き取ることで会話が生まれ、絆を深めるきっかけになれば良いとも考えました。メーカーとして責任を持ったリサイクルとリユースの活用を掲げ、衣料品の循環システムをしっかり構築することを目指しています。

 引き取りは百貨店インショップと直営店で常時、SCショップは期間限定で行っています。上期(23年3~8月)実績は前年同期比23%増の43万2289点で、参加者は8万7945人。23年度は100万点の引き取りを見込んでいます。コロナ禍でも引き取り数は減らず、お客様の環境への意識が高まっていると感じています。引き取った衣料品は毛布や軍手などにリサイクルし、被災地支援や自治体の清掃活動などに使用してもらっています。

 リユースは14年、自分たちで次のお客様に届けるために実店舗のオンワード・リユースパークを出店。22年度は10万人を超える来店客数があり、お客様から支持されていると感じてます。ショップでは不用になった衣料品のリメイクワークショップなど環境啓蒙(けいもう)活動も行ってます。リユースは引き取り全体の15%程度です。メーカーとして提供する商品に責任があり、店頭に並ぶまで4回の検品作業を行い厳しくしています。

 3月からはオンラインで引き取りを始めました。8月末時点で約5万2000点で、参加者は増えています。破れ、汚れなど商品の状態は関係ありません。お客様の声やショップがない地域、店まで来られない顧客、手軽さなどに対応した取り組みです。新たなポイント還元システムも導入しました。今年度中にはアップサイクルにも取り組みます。回収率アップや無駄にしないことを目指しています。当社の販売数から見ると、引き取り点数はまだまだで、究極的には100%に近付けるようにシステムの構築を行いたいと考えています。

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(繊研新聞本紙23年9月26日付)

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