街に人が戻り、ファッション消費も回復してきた。日本の繊維・ファッション業界も以前とは異なる動きが目立つ。より価値観の近い者同士がチームのように集まり、物を作り、販売もしていく形が増えてきた。顔の見えるフラットな関係性を基盤に、持続可能で公正なビジネスを志向するチームに元気があるようだ。従来の大量生産・大量販売が通用しなくなるなかで、ファッション市場に新しい風を吹き込んでいるのは、したたかな物作りと独自のクリエイションが強みのブランドや企業だ。
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■商品の説得力で
昨年は多くの企業が実店舗の営業時間の短縮に影響を受けた。一方、売り上げを落とさなかった東京ブランドも多い。都心での買い物は控えられたが、地方の専門店向けの卸とECでの消費は底堅かった。
好調が目立つのは、20代を中心に支持されるメンズブランドだ。リモートワークの普及でビジネススーツの需要が激減したのとは裏腹に、おしゃれ男子の間では、テーラードジャケットやタック入りトラウザーズ、カットに特徴を出したドレスシャツを普段使いに着用することが根づいた。その作りの良さや素材のクオリティーは、ブランドの価値を上げる要だ。若手のデザイナーも国内産地の素材や国内の縫製工場に依頼して物作りするケースが目立つ。
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