2023年の繊維倒産 件数、負債額がコロナ前水準に

2024/01/18 06:26 更新


 信用交換所の調査によると、23年の繊維業者の整理・倒産は件数で前年比32.8%増の328件、負債総額は68.1%増の726億8300万円となった。コロナ対策の融資の返済を迫られ、物価高で仕入れや雇用も厳しくなるなど厳しい経営環境が続いている。今後も中小・零細を中心に倒産件数は高止まりしそうだ。

【関連記事】経営悪化する中小・零細企業 融資返済に加え〝社保倒産〟の危機

 件数では19年まで年間400件台が続いたが、20年以降はコロナ融資が下支えして減少傾向が続いていた。金額も同様で、19年には1000億円を超えていたが、21~22年は400億円台と「過去最少」で推移。

 23年の負債額は「コロナ禍前の水準」に戻っている。また、負債額100億円を超える大型倒産はなかったものの、プロルート丸光は20年のレナウン以来の上場企業の倒産だった。

 信用交換所によると、今後も「大型倒産が相次ぐ状況ではない」が、負債の返済や物価高は「中小ほど負担が大きく、倒産件数は増えていく」とみる。上場大手の子会社や非上場の中堅でも債務超過に陥っている企業は少なくない。

 金融機関の姿勢も変わりつつある。銀行によっては「リスケ(返済条件の変更)には応じるものの、新規融資には慎重」になっている。審査も厳しくなる傾向で「決算内容によっては融資のストップ」も増えている。粉飾決算が判明し、倒産につながったケースも増えている。

 こうした状況から、M&A(企業の合併・買収)の動きは活発化している。売り手側の事業会社、融資元の銀行とも買い手を探している。フランドルを買収した不動産業のランドビジネスなど異業種も候補だ。ただ、ファンドからみて「繊維やアパレルは魅力が薄い」ことに加え、ファンド傘下での成功事例が少ないために敬遠される傾向もあるようだ。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事