子供服ECの「デビロック」(グロウ、大阪市)が快進撃を続けている。上期(19年9月~20年2月)は売上高が前年同期比50%増で、自社ECが急伸している。3月もこのペースを維持している。新型コロナウイルスの影響は受けておらず、通期(20年8月期)も計画の売上高約40億円(30%増)、営業利益2億5000万円(60%増)を達成しそうな勢いだ。
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自社ECは、ウェブマーケティングを強化したことで客数が増えた。マーケティング会社と組み、ユーザーが欲しい情報を分析。サイズガイドを充実するなどSEO(検索エンジン最適化)対策を進めた結果、グーグルで「子供服」で検索すると最上位に表示されるようになった。また、ツイッターで子供服の悩みを発言している人たちに公式アカウントからお薦め商品を提案するなど、細かいアプローチも重ねている。
その結果、売り上げが4.6倍に伸び、全体に占める自社ECの売り上げ比率も約1割に達した。各3割を占めるゾゾタウン、楽天市場も前期比30%増と伸びた。
また、商品バリエーションが充実してきたことで客単価も伸びている。ベーシックなユニセックス商品が主力で、EC専業という強みを生かし、ストレッチパンツで900円台、ロングTシャツで700円台と大手量販店と同等価格を実現している。この間、トレンド物やワンピースなどの女児向け商品を増やしており、セット率が上がっている。現在のオリジナル商品の構成は点数で3、4割、売り上げで95%以上を占める。来期(21年8月期)からは全てオリジナルに切り替え、年間の品番数を1000から500に減らす。「一つひとつの商品に責任を持つ」(宮本智彦社長)ことで顧客満足度を上げる。生産面では専門家と契約し、生産管理の経験のある人材を複数人採用することで品質の向上を進める。「ベーシック、価格、品質、デザインのバランスでナンバーワンになり、信頼を勝ち取る」ことを目指す。
下期は、試験的に旧正月前に夏物を入庫していたことから、問題なく商品を供給できる。今後は分納などのコントロールでキャッシュフローを改善したい考え。プロパー消化率は8割を超えるが、AI(人工知能)を活用した需要予測を導入して精度を上げる。