今年、創立20周年を迎えた東京・台東区の台東デザイナーズビレッジ(デザビレ)は、クリエイター育成が目的のインキュベーション施設だ。ファッションに特化した東京の施設として希少な存在で、指導方法も時代とともに変化させ、厳しい環境下でも成長できる人材を育ててきた。卒業生は約120組。そのうち40組が台東区内でアトリエやショップを構えており、新たな街のにぎわい創出に貢献している。地域や行政とも連携し、物作りをアピールするイベントを続けている。
(大竹清臣)
クリエイターの育成について鈴木淳デザビレ村長は、「20年前までは良い商品を作り、合同展に出展して有力な卸先と取引するのが〝勝ちパターン〟だったが、大手セレクトショップなどがPB開発に力を入れ、仕入れ枠が減少し、卸販売の拡大に期待できなくなった」と分析する。その後、期間限定店の開催が盛んだったが、コロナ下で集客力が落ち、この手法も成り立たなくなった。