アメリカンカジュアルメーカーのデラックスウエア(秋田県大館市)は海外で卸先を拡大している。8カ国・地域の12店まで広がった。1月には、独ベルリンの展示会で海外初出展し、新規卸先の開拓に弾みをつけた。
(大竹清臣)
同社は22年秋冬から海外への卸販売を開始した。卸先は、これまでメールやSNSで何度も熱心にアプローチしてくれたドイツとオーストラリアのセレクトショップ。「一気に拡大はせず、じっくりとコアなファンを育てたい」(村松隼人代表)考え。既存の秋冬物から数品番に絞り込んで販売する。
深い沼に誘う
各店の濃い常連客の心に刺さる商品を提供することで、一人ひとりがどんどん「深い沼(マニアック)」にはまってもらう戦略だ。メイド・イン・ジャパンに円安の追い風も吹き、SNSの口コミで広がって中国、台湾、韓国、タイ、米国などとの取引も始まった。
ベルリンの展示会では6社から新規取引の依頼があった。商談した海外バイヤーからは「デラックスウエアを実際に見る機会を待ち望んでいた」「実物を確認すると期待以上だった」など評価が高かった。課題は現状の国内向け展示会の開催時期が海外向けよりも半年近く遅く、サイクルが合わない点や知名度が低いことなどだという。
自社で縫製も
同社は大館市に自社縫製工場があり、ユニオンスペシャルなどビンテージミシンを多数揃える。シャツやカットソーアイテムなど自社ブランドの生産を担う。この間、自社工場の生産力増強と効率化に投資するとともに、オリジナルの生地開発などにも力を入れてきた。最近では、自社工場の強みを生かし、長い夏や暖冬に対応した期中企画の生産も手掛ける。
25年春夏物では、米ウィルコックス&ギブスの1920年代のフラットロックミシンを使い、針糸4本針に下振り糸4本、上振り糸1本の合計9本糸を使う複雑な構造と縫い方のヘビーウェートTシャツ(税込み1万3200円)を打ち出す。そのほか、ビンテージミシンを多用したナバホラグのようなストライプ柄のヘビーネルシャツ(3万800円)や希少な抜染によるハワイアンシャツ(長袖2万7500円)、11色を手捺染したレーヨン縮緬(ちりめん)の70年代和柄開襟シャツ(3万1680円)を提案する。
また、今年創業20周年を記念し、米コーンミルズのデッドストックデニムを使ったシャツ(5万3900円)とジーンズ(8万5800円)とGジャン(9万2400円)を限定販売する。