【特別対談】クロス・コミュニケーション×サードオフィス システムと感性の融合で、明確なターゲットに的確なデザインを

2020/09/17 00:00 更新


DtoCブランド構築パッケージの最適解 “D2C Growth Partner “

――開発の経緯は?

富永 当社はクロス・マーケティンググループの一員として、ITソリューション・デジタルマーケティングを総合的に行っているIT企業です。西村さんと出会ってアパレル業界のお話をお伺いする中で、業界特有の課題を知りこのような取り組みにつながっていきました。

西村 アパレルのODMをメインとしながら当社自身もアクセサリーのDtoCブランド「ROOM」を立ち上げています。その際に、クロス・コミュニケーションのシステムを活用しました。もともとアパレル業界の課題に対し、ITソリューションを活用することで解決ができるようになると感じていました。

富永 「D2C Growth Partner」は、DtoCブランドを立ち上げる上で必要なマーケティング施策、ECシステム構築、ブランドコンセプトの運営、サプライチェーンの構築、集客施策まで総合的にサポートする仕組みとなっています。これまで当社が持っていた仕組みをベースにしながらサードオフィスのノウハウを援用することで、システムを提供するだけにとどまらない提案が可能となりました。

クロス・コミュニケーション代表取締役社長 富永晴次 氏

――アパレル業界の課題は?

西村 まず何といっても、ユーザー視点の欠如だと思います。ユーザーの視点に立った時に何よりも求められるのは、「ユーザーに共感される価値を提供すること」です。しかし従来型の考え方だと、まず「レディスキャリアブランドを作る」ということから始まり想像中の“30~40代のキャリア女性”に向けたブランド開発を行います。実際のマーケティング調査も行わず、過去の実績や売り手の主観だけで会議室で決まっていくブランドがユーザー視点と乖離していくことで供給過剰を深刻化させていると思います。

富永 マーケティングの基本は、まずユーザーの調査にあると思います。「D2C Growth Partner」では、当グループが保有する600万人のパネルへのアンケートによる市場調査やニューロープ社と協業した画像解析AI(人工知能)でSNS上のスナップ画像を解析する仕組みを使って、商品ターゲット「的」をある程度明確に探し出すことが可能です。

西村 この「的」に即した、コンセプト・デザイン・品質・価格を最適に作っていくのが当社の役割となります。

サードオフィス代表取締役社長 西村隆 氏

――今後、DtoCブランド開発に求められるものは?

富永 これからますますと、DtoCブランドの需要は増えると思いますが、その運営には様々なノウハウが必要となります。ECシステム構築を一つとっても様々なベンダーが多くのシステムを提供しています。また、いざサイトを構築しても集客のための分析やSNS活用、システムサポート、コンテンツの最適化など、とても手間がかかります。ブランドを運営するにあたって最小限のシステムを使い無駄な機能を省き、運用・開発コストを抑えることが必要になります。

西村 「D2C Growth Partner」は当社の「ROOM」での実績をもとに最適化されています。実際、「ROOM」は本格開始から2年目で売上1億6000万円(19年度)、20年度の見込みは3億円と成長しています。ここでの実践をもとにして、ブランドを立ち上げて年間1~2億円の売上を短期間で実現し、ゆくゆくは年間5~10億円に成長できるように設計されています。

富永 我々としては、正直言えば、お金と時間をかける事ができれば、あらゆる機能の搭載もすることができます。そのうちで、どのステージの商売にどの機能とどのようなフォローが本当に必要で、どこまでを削り、どこまでを実装・準備すれば良いかを判断するには、アパレルビジネスを実際に行うサードオフィスの知見がとても参考になりました。システムに感性を加えることで、まさに「血の通った」サービスになったと思います。

西村 またコンセプトやストーリーの設計から販促計画まで連動しているサプライチェーン構築も非常に重要な観点です。確かに、ブランドによってはインフルエンサーを活用してバズを起こすことで月間数千万円の売上を作っているものもあります。ただ、デジタルマーケティングなどのEC運用からクリエィティブ制作、サプライチェーン、販売プラットフォームまで、全体の繋がりを1つのビジネスモデルとして差別化させられなければ、瞬間風速的な結果は出させても継続的な成長は難しいと思います。我々は、ブランドに最適なバリューチェーンの構築をサポートさせて頂きます。

富永 当社とサードオフィスのタッグで、より多くのDtoCブランドの発展をお手伝いできるように願っています。

サービスのダッシュボードイメージ

クロス・コミュニケーション


クロス・マーケティンググループ。Webサイト、システムの運用、Webプロモーション事業、顧客データ分析・活用事業などを手掛ける。グループ間での様々なデータ活用や、SNSの分析といったマーケティング施策から、顧客の課題解決に寄り添ったITソリューションを提供する。

https://www.cross-c.co.jp/

サードオフィス


アパレルOEM・ODM事業からデザインコンサル事業、EC、ブランド事業を手掛ける。「カッコいいを開発する」を企業理念に、モノづくりとクリエイティブをもとにした提案を行う。発信するメーカーとして、マーケティングから企画開発、製造、販売を一貫して行う。

https://www.3rdoffice.jp/about-us/message/



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