《異業種に学ぶ》自転車屋サークルズ 直しながら長く付き合う

2020/03/22 06:28 更新


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 「もし今もファッション業界で働いていたら、テーラーになりたい。客の要望を聞き、サイズや好みに合わせ、カスタマイズして自ら作り・売る手法が自転車と似ている。何よりも、直しながら長く使い続けてもらえるのが魅力」と話すのは、自転車屋サークルズ(名古屋)の田中慎也代表だ。

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 サークルズは昨年末に13周年を迎えた名古屋を拠点とした2層の自転車ショップ。オリジナルから海外のフレームをはじめ、タイヤ、サドルなど自転車のパーツ、ウェアやバッグなど関連アイテムまで揃う。修理工房のほか、朝食中心の飲食店も併設する。

◆時を重ね美しく

 小売事業のほか、ウェアや雑貨のオリジナルブランド「RAL」(ライドアライブ)などの開発や自転車のパーツや関連アイテムの製造や輸入卸なども手掛ける。米国に現地法人を設立し日本製自転車を約200店で販売している。「海外販路の開拓は事業の継続には欠かせない。古典的なクロモリやアルミ製の日本の自転車は壊れにくく修理して乗り続けられる点で高品質のため、日本以上に受け入れられている」という。

 田中代表は地元セレクトショップでの経験も長く、アパレル業界にも詳しい。「毎シーズン、トレンドを追いかけるよりも、自分が好きなら使い古しの服でもカッコイイ。時を重ねることで美しくなる。モノを使い切ることを大事にしたいと考えると、服よりも自転車の方が魅力的だった」と振り返る。

 自転車屋にとっての上顧客はタイヤ、バーテープ、サドル、ビブパンツなど消耗が激しいアイテムを高頻度で購入する人。それはヘビーユーザーの証しだからだ。「愛着を持って服を着れば着るほど汚れるし破れることを忘れてしまっているのか。自分が洋服屋を辞めたのもジーンズの裾上げやお直しを外注した時だった。最終仕上げの大事な工程を他社に任せるようでは、店は売るだけでアフターケアなどの客に寄り添うサービスを提供できない」と見切りをつけた。

サイズや好みに合わせてフレームやパーツを選べる自転車のほか、サイクルジャージーやカジュアルウェアまで揃う

◆共感を得る存在

 リアル店舗は人との出会いの場。地方、都心にかかわらず、個性的であればあるほどグローバルニッチな存在として自転車好きに共感される。海外雑誌(自転車業界)からの取材も多く、サークルズ目的で名古屋を訪れ、観光もしていく外国人が目立つ。一方でローカル性も大切にしており、身近な住民(自転車好き)に役立つコンビニのような存在でもある。さらに顧客と体験を共有するライドイベントにも力を入れている。仲間づくりにもなり、初心者が自転車を好きになるきっかけにもなる。

 そもそも人力で走る自転車は環境にも健康にも有益であり、パーソナルなニーズに基づいてカスタマイズでき、アフターケアしながら顧客と長く付き合える自転車店の在り方はサステイナビリティー(持続可能性)をテーマに掲げるファッション業界にとって学ぶべきことが多い。

「今、ファッション業界にいたらテーラーをしていたかも」と田中代表

(大竹清臣、繊研新聞本紙20年2月12日付)


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