シャネルは、早稲田大学大隈記念講堂で、次世代の映画人を育てるためのプロジェクト「シャネル・アンド・シネマ・トウキョウ・ライツ」のマスタークラスを2日間にわたって開いた。映画監督の是枝裕和さんとともに映画業界の未来を担う人々に教育の機会を提供するというもの。俳優でシャネルアンバサダーのティルダ・スウィントンさん、西川美和監督、俳優の役所広司さんや安藤サクラさんを講師に迎え、トークセッションやワークショップを行った。
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受講者は映画界に携わる人や、監督や俳優を志す人を中心に、両日ともに300人以上が参加した。
初日冒頭には、是枝監督とスウィントンさん、西川監督が参加し、日本の映画産業における課題を話し合った。一つは、女性の働き方について。早稲田大学で10年間、映画作りの授業を続けてきた是枝監督は、「授業で監督に選ばれるのはほとんど女性。優秀でタフで持続力がある」とし、彼女たちが業界に入って結婚出産を経た後も、映画作りを続けられように公的なサポート作りを進めていると語った。
各講師によるワークショップでは、オリジナル脚本を元に、若手演出家や俳優がステージ上でシーンを作り上げるプロセスを模索。別所さんは間の使い方、安藤さんは自然な感情の表現方法などをアドバイスした。スウィントンさんは、英語が堪能ではない役者による英語劇を通して、言語を超えた表現の可能性を伝えた。
同プログラムではマスタークラスに続いて、ショートフィルムのコンペティションを開催する。応募資格を得たのは、マスタークラスの受講者。映画監督志望者は8分間のショートフィルムの脚本を提出できる。その中から書類と面接による選考を経て3人が選ばれ、シャネルおよび是枝監督らによるサポートを受けながら、実際にショートフィルムを制作する。完成作品の発表は25年春。26年に東京とパリで披露する予定だ。
同プログラムの第1サイクルはこの発表を経て終了し、26年から次のサイクルがスタートする。