キャンプをブームで終わらせない!ロゴスに学ぶ市場拡大の知恵

2019/02/19 09:29 更新


 キャンプがブームだ。日本オートキャンプ協会によると、キャンプ参加人口は5年連続で前年を上回り、用品市場も20年ぶりに600億円台に乗った。

 一方、業界内からは「今ブームは子育て期を迎えた団塊ジュニアが中心を担っており、彼らの子育てがひと段落すれば、再び市場は縮小する」との危惧もある。ではこの盛り上がりを持続させるにはどうすべきか。広範なユーザーを取り込める「異業種コラボ」は、有効策の一つではないか。

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◆CAMP×アウトレット

 キャンプの「間口の広さ」を生かし、異業種と組んでキャンプ市場を広げようとする試みが既に始まっている。

 三井不動産は、運営する「三井アウトレットパーク入間」(埼玉県入間市)階1階にある共用部「フォレストラウンジ」の改装にあたり、ロゴスコーポレーションとコラボレーションした。同スペース横に「ロゴスショップ」と「ロゴスカフェ」(計235平方メートル)を導入し、内装のイメージをロゴスとすり合わせ、グリーン基調のアウトドアを意識した空間(125平方メートル)に仕上げる。

 共用部分では、ロゴスがテントの設営講習会や、ガーランドフラッグといったキャンプアイテム制作のワークショップを開催。イベント時にはテーブルやチェアなどロゴスのギアも使用し、空間全体でキャンプの雰囲気を疑似体験できるようにする。

 また、同スペースに幅8.6メートル×高さ3メートルの壁面を設置し、デジタルコンテンツを駆使した遊べるスペースを設ける。壁に触れると映像が動いたり、変化したりする仕掛けを施し、子どもたちが楽しめるようにする。

 三井不動産がロゴスと組んだのは、キャンプが老若男女が楽しめるアクティビティーであるため。施設内で快適に休憩でき、くつろげる空間作りを志向していた三井側にとって、ロゴスの体験型ショップは魅力に映った。一方のロゴスとしても、共用スペースでキャンプシーンを演出することで自店に客を誘導しやすく、物販につなげられる利点がある。

 同改装でロゴスとの連携と担当する三井不動産アウトレット部・営業Gの鏑木裕介氏は「アウトレットにおいても体験を重視しており、キャンプは魅力的なコンテンツ。分かりやすく、年代・性別を問わず受け入れやすい。ロゴスとの協業で、他に無い空間が仕上がるはず」と期待を寄せる。

 改装開業は4月12日を予定している。

 もともとロゴスは、自治体やカーディーラーといった異業種との協業に積極的だ。

 例えば京都府城陽市とは、市内にあった総合運動公園の指定管理業者にロゴスがなり、元の建物を宿泊機能を持つアウトドアレジャー施設「ロゴスランド」に作り変えた。7月の開業以降、小さな子どもを持つファミリー層の利用が増え、地元だけでなく九州や北海道、店舗の無い香港からも客が訪れる。秋以降も利用客は減らず、売り上げは受託契約前に比べ2倍。6月下旬には宿泊部屋の拡張やレンタルコーナーの拡充、ロゴスショップの開設を含む第2期開業が控える。

 トヨタカローラ新大阪とは昨年9月、販売店(名神茨木店)内にロゴスショップを構えた。竹中工務店がデザイン・設計したおしゃれな店内に2ルームテントやチェア、たき火台など約200点を陳列。トヨタのキャンピングカーとタープを連結したキャンプシーンの提案もしている。出店以降、名神茨木店の来店客は格段に増え、相互送客も進んでいる。

三井アウトレットパーク入間1階の共用部「フォレストラウンジ」の完成イメージ。隣接するロゴスショップと内装イメージを合わせ、アウトドアの雰囲気を出す

◆CAMP×レンタカー店

 アウトドア専門店内でキャンピングカーのレンタルを始め、集客力を高めた事例もある。昨年11月に店内に日本レンタカーの営業所を導入したのは、メガスポーツが運営する「スポーツオーソリティ港北センター南店アウトドアスタイル」。同店では当初、新サービスの浸透には1年かかると見ていたが、開始直後から反響が出て、週末と年末年始休みは予約でほぼ埋まり、人気コンテンツとなった。同店ではすぐに増車を決断。今7月ごろには2台増える予定だ。

 物販への促進効果もあるようだ。同店では「キャンピングカーを借りたお客様がどれだけキャンプ用品を購入しているかは分からないが、車を借りれば、アウトドアを楽しむことは確実なので、利用者の買い上げ率は高いはず」(営業本部法人営業部の鳥居裕二部長)と見る。今後は、キャンピングカーとキャンプ用品を一緒にレンタルできる新サービスも検討中だ。



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