衣食住の一つであるファッション。来店してくれた人の生活にわずかでも直接触れる仕事だからこそ、販売員は難しくて楽しい。副店長として店舗運営を支えながら、より良い接客提案のために努力を続ける2人の販売員に、仕事のやりがいについて聞いた。
◇
今年で入社6年目を迎えた荒井優作さんは1月から、ららぽーと富士見店の副店長として働く。節目に出会う魅力ある先輩の仕事に対する姿勢やアドバイスが自身の成長につながっているという。これからもタテ・ヨコとも人と人とのつながりを大切に「自己を磨くとともに、周りの成長を促したい」と考える。
20年後のビジョン
就職活動中はアパレル分野に絞っていたわけではない。たまたま聞いた就活の説明会でスーツ販売に興味を持ち、AOKIのインターンシップに参加したのがきっかけだった。販売員のやりがいなどを聞いただけでなく、いろいろな職種についても説明してもらった。その時、思いやりを持って丁寧に接してくれた人事部担当者の人柄や態度などから人を大切にする社風を実感するとともに、10~20年後の自身のビジョンを考えることができたのが入社の決め手となったという。
入社から4年間はオリヒカ市川コルトンプラザ店に配属された。21年9月、サブマネジャー試験に合格し、副店長になった。新人時代は仕事の時間以外でもスーツの商品知識を学ぶため、自己学習の時間を設けた。スーツやシャツの素材や織り柄などの組織、カラーコーディネート、修理や補正まで、書籍を調べるだけでなく先輩に話を聞いてノートにまとめた。そうした努力によって同店では「荒井さんに接客してほしい」という指名客が一番多かったという。その後、出店準備室を経て24年9月にエミテラス所沢店に異動した。
接客では「必要なモノが何かをヒアリングして色やデザインなど商品説明をすることだけにとどまらず、日常会話から顧客ニーズを読み解くように心掛けている」。荒井さんは一度接客した顧客の情報はノートにしっかり書き込み覚えているため、前回提案して購入してもらった商品を踏まえて新たな提案をしている。「自分の提案したコーディネートそのままを購入してもらえると自信ややりがいにもつながる」と強調する。
スーツを販売する現場では入学や成人式など顧客の人生の節目に立ち会え、ふさわしいオリヒカのスーツを着用できた感謝の気持ちを伝えられた時に一番のやりがいを感じる。また、自身が教育した部下やアルバイトの人たちが店頭で活躍している姿も喜びが大きいという。

チャレンジ続ける
さらなるステップアップを目指し、チャレンジすることも増えている。現場を担う営業部と本社の商品部や販促部など他部署と一緒の勉強会「オリプロ」にも選ばれて参加している。店舗環境のプロジェクトにかかわり、なるべく現場の意見を伝えることで本社との相互理解を深めるとともに人脈作りにもつながっている。新店の出店準備にも参加するなどの経験もできた。昨年マネジャー試験を受けて合格した。いつでも店長として配属されても大丈夫なように、販売だけでなく、数値管理や人材教育など店舗運営全般ができるようにマネジャー目線で仕事をするように心掛けている。だが、「まだまだ先輩たちの分析力には及ばないので、さらなる努力が必要」と荒井さん。
まず当面の目標は店長になることだが、さらにその先を目指すためにも「人とのつながりが重要だと改めて学んだ」。将来的には「大学時代にマーケティングを専攻していたので、本社で販促の仕事もしてみたい」。そのためにもいろいろな部署・人たちと経験を重ねていく。
■ここがすごい!
「荒井さんは入社当初から挑戦を恐れず、1年目でサブマネジャーライセンス取得や新規出店の立ち上げ、ゾーン内でのセミナーの講師経験など、多くの実績と成長を遂げてきました。今後は視座をさらに高め、次世代を担うリーダーとしてさらに活躍されることを大いに期待しています」(松井雄紀オリヒカ営業部ゾーンマネジャー)
(繊研新聞本紙25年5月15日付)