帝国データバンクの調査によると、従業員の退職や採用難などが原因で労働力が不足し、事業が継続できなくなる「人手不足倒産」は、21年で104件となった。185件と最も高かった19年から2年連続の減少。17年(106件)を下回り4年ぶりの低水準となるなど、大幅に減少する結果となった。
景況感が上向く中で19年末まで企業の人手不足感は慢性的な高水準で推移していたが、新型コロナウイルス感染拡大で業務量が減り、人手不足感は急速に低下した。人手不足倒産は業種別では建設業が34.6%と最多。次にサービス業が21.1%、製造業が10.5%だった。
人手不足の緩和は一時的で、景況感は回復傾向にあり、再び人手不足に陥る可能性は十分にあるとみる。実際に同社の22年の景気見通しに対する調査では、景気に悪影響を及ぼす懸念材料に「人手不足」をあげた企業が30.6%を占め、前年度の11.1%から再び高まっている。
なお、人手不足倒産の件数と分析は負債額1000万円以上の法的整理が対象。