「バレンシアガ」が広告への児童虐待批判に対応 社内イメージ部門を再編

2022/12/06 06:29 更新


 【パリ=松井孝予通信員】仏メゾン「バレンシアガ」のセドリック・シャルビ会長兼CEO(最高経営責任者)は、同メゾンの二つのキャンペーン広告に対する児童虐待の抗議を受け、今後の対策を表明した。

 社内のイメージ部門に関してはすでに再編を済ませたとし、イメージコンテンツや製品コンセプトに関する社内の組織と教育の強化、法的査定も含めた外部による監視、児童保護への資金援助などを盛り込んだ。

 また、アーティスティックディレクターのデムナ氏はインスタグラムの個人アカウントに「パーソナルメッセージ」として謝罪文を投稿した。

 SNS上で物議を醸した一つは、「ホリデー」の広告キャンペーン。バッグを持った少女のビジュアルがBDSM(嗜虐(しぎゃく)的性向)を連想させるとし、抗議が拡大した。仏紙「ル・モンド」によると、本広告は著名なイタリア人ドキュメンタリー写真家、ガブリエーレ・ガリンベルティ氏の子供とおもちゃの作品にコンセプトを得て、同氏が撮影したという。バレンシアガの社員の子供をモデルに起用した。保護者たちは子供たちは撮影を楽しんでいたとコメントした。同メゾンは11月22日に謝罪し、このキャンペーンを中止した。

 もう一つはニコール・キッドマン氏らをモデルに起用した新ライン「ガルド・ローブ」23年春夏の広告。ニューヨークのオフィスを想定したセットの中に児童ポルノに関する米国最高裁判所の資料が置かれていたとして、抗議が寄せられた。

 バレンシアガはこのセットとの関係はないと主張し、米広告制作会社とコンセプターを相手に2500万ドルの損害賠償を求めていた。シャルビ氏は声明で、この告訴を退けると明らかにした。



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