【上海支局】アシックスは20年の中国での販売をコロナ禍でも堅調に伸ばし、前期(20年12月期)の中華圏売上高は約411億円(前期比4.2%増)となった。中国・台湾・香港の販売を管轄するアシックス中国商貿は、ほぼ期初予算を達成。特に中国本土での販売は、ブランド別に「アシックス」が売り上げ20%増、「オニツカタイガー」1~2%増で、全体で10%伸ばした。
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同社の海外販売で売り上げが伸びたのは中国とオセアニア。いずれもパフォーマンスシューズが好調だった。その中で中国は新型コロナウイルス感染拡大で20年2月に大きく落ち込んだが、3月から予算に到達する回復ぶり。特に個人で運動を楽しみたいというニーズが強まり、ランニングシューズが活発に動いた。シューズのカテゴリー別ではランニングが26%増で、中国市場でアシックスのランニングブランドイメージが定着している。一方、スポーツスタイルは微減で、アパレルまでの総合スポーツブランドの確立がこれからの課題となる。
販路はECが大きく伸び、自社EC、ECモールともに好調。アシックスは30%増、オニツカタイガーは65%も増えた。ECの伸びは現地生産体制の整備が進んだため。中国人のニーズに合ったデザイン・色を短期で生産して市場投入できる現地生産体制が20年秋からようやく軌道に乗ってきた。主力生産地のベトナム、インドネシアより納期が半分に短縮され、ECの販売機会ロスを防げる。21年は型数を増やし、生産スピードを速める。
21年は中国で売り上げ2ケタ増を計画する。現地生産対応を増やすとともに、店舗ではシューズ底材テクノロジー「IGS」(インパクト・ガイダンス・システム)の機能性や、フィット性を伝えることを重視する。出店は大都市部を中心に進めるが、既存店の採算性とスクラップ・アンド・ビルドを重視し、新規出店は微増となる見込みだ。