青山商事は今期(23年3月期)末までに、ネットとリアルの融合システム「デジラボ」を新たに「洋服の青山」120店に導入する。システム導入は6月14日から順次開始し、来店客に同業態ならではの買い物体験を提供する。
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デジラボは、ネット連携による豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを最大限に生かした同社の独自システム。導入店の店内には、全店の在庫と連動するタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を複数設置し、来店客はこれらの端末を使い全国の洋服の青山の1000万点以上ある在庫の中から好みの商品を選ぶことができるとともに、販売員の接客を受けながら実際の商品の色柄や着心地などを確認した上で購入することも可能だ。
同システムを利用して購入した商品は自宅配送となるため、購入後は手ぶらで帰ることができ、後日店に商品を受け取りに行く手間も不要となる。また、一度スタッフの接客を受けながらデジラボで買い物を体験することで、利用者のネット通販に対する抵抗感を払拭(ふっしょく)し、「洋服の青山オンラインストア」の利用を促進するとともに、店舗とECサイトの両方を利用する〝併用顧客〟の拡大にもつなげていく。
デジラボの導入店では、同じ色柄のスーツをサイズ別で保有する必要がなく、限られたスペースで多くの種類を陳列できることから、開始当初は主に都市部の売り場面積330平方メートル未満の狭小店を中心に導入していた。だが、ネット連携による豊富な品揃えと利便性の高さなどが反響を呼び、現在では全国の大型・中型店への導入も進めている。
システムを導入したこれらの店舗ではスーツ売り場の一部を縮小し、現在強化しているオーダースーツコーナー、テレワークにも対応するビジネスカジュアル商品やレディス商品を拡充するなど、売り場の再構築をしている。今後導入する店舗でも売り場を有効活用し、各店舗の需要や地域特性に即した魅力ある売り場を目指していく。