クゼットデザイン(東京)の古谷マミコさんが手掛ける「ailéFanM」(エレファン)は、着心地の良さを担保するパターンの力と、〝ありそうでない〟デザインが売りだ。賞味期限が長く「断捨離に勝つ服」というのが顧客の評価。コロナ下も、期間限定店やアトリエでの直接販売でしのいだが「もっと広く見てもらいたい」欲も出てきた。昨年始めたきものブランドを中心に、久しぶりの展示会を4月4日から開く。
(永松浩介)
セールせず正価で
「ヒロココシノ」出身。03年に独立し、最初のブランドを含めるとデザイナー歴は20年余り。始めた当初はナチュラル感のある素材に、手仕事を多く加えた味わいのある洋服を作っていたが、10年にブランド名を「エレファン」に変更、モード寄りのブランドに衣替えした。その直後、友人の仕事の手伝いでパリに移住。ブランドも続けていたが、13年に帰国し、本格的に再開した。
モデリスト(パタンナー)出身のため、着心地の良さにこだわる。今風の大きめのシルエットでも、すっきりと見せるのは優れたパターンのなせる技。エレファンを始めて15年経ち、「1年目に買ってくれた顧客が昔のものと今のものを交互に着てくれている」。〝賞味期限〟が長く、親子で着用するケースもあるという。
中心顧客層は40代~50代。桐生産地の生地展示会のアドバイザーも務めているため、産地企業と共同開発した生地も少なくない。ジャケットやブルゾンが4万円から、ドレス5万円から、ボトム3万円から。カシミヤを使ったコートは15万円ほどするが、値段は高くしたくないと古谷さん。「普通の人に手の届かない値段だと、ファッションが廃れてしまう」と考えるからだ。
定番的なものも増えているため、残ってもセールはせず、タイミングをみて正価で販売する。「顧客は(そのシーズンのものかどうかは)気にしていない」。ブランドのコンセプトがはっきりし、顧客も理解しているから値も通る。ECはやめたが、SNSから問い合わせがあると可能な範囲で対応している。
きものブランドも
1人でやっているから、至ってマイペース。コロナ下でも、卸先店舗でのイベント販売やアトリエで売れ、「意外に大丈夫だった」。売り上げも卸売りより直接販売の方が大きいが、「もう少し広く知ってもらいたい」気持ちも生まれ、コロナ禍以後、初となる展示会を開くことにした。
今シーズンはJR名古屋高島屋や阪急うめだ本店など4カ所で期間限定店を開き、4月は福屋(広島市)でも行う。5月は地元である福井県敦賀市のセレクトショップ、6月には石川県金沢市の老舗エステサロンでも販売会を開く。
エステサロンでは24年にドイツ人写真家のアラム・ディキチヤンと始めたきもの「古谷ディキチヤン」の受注会も。「美意識の高い顧客とは親和性が高いはず」と古谷さんは話している。