愛知県立芸術大学の春田登紀雄准教授ゼミは、時田毛織、V&Aジャパン、関東プラスチック工業との4者合同産学連携プロジェクトで生分解性プラスチックを使ったアイテムを制作。機能性やデザインを重視した商品企画で、出展した環境関連展示会で人気を集めた。
プロジェクトの立ち上げは21年ごろ。春田准教授のゼミ生たちがサーキュラーエコノミー(循環型経済)を学ぶ中で、「何か産学連携での取り組みが出来ないか」(春田准教授)として、かねてから関係があった尾州のテキスタイル企業の時田毛織に相談して始まった。その輪がV&Aジャパン、関東プラスチック工業にも広がり、約3年かけ商品を開発、合同展「エコプロ2024」出展にこぎつけた。
ゼミ生が商品企画、V&Aジャパンが生分解ポリエステル「クラフトエボ・リーテ」の供給、関東プラスチック工業が成型、時田毛織がテキスタイル供給など役割を分担し、他にも多くのメーカーの協力を得た。
展示会で披露したアイテムは植木鉢、給食用の食器、学校の家庭科の授業などで使う巾着袋を作る体験学習教材、ジーンズ、ランドセル、埋めるプラおもちゃ、鍋型のコンポスト、傘の八つ。業界関係者のほか、学生や外国人が多く訪れた。特に愛知県春日井市のバッグメーカー、松山製鞄の協力を得て開発したランドセルは容量が大きく、かつ軽いと人気だった。土に返るので小学生がサーキュラーエコノミーを日常的に意識するアイテムで、来年オンラインでの販売を目指す。巾着袋を作る体験学習教材は昨年、豊田市の小学校で採用されている。
作る側も使う側も楽しく
春田准教授の話
カーボンニュートラルへの取り組みはそこにデザイン的な要素が入ってこそ、作っている側・使っている側が楽しくなる。環境に良いだけではつまらない。例えば、ランドセルは環境に良いだけでなく、横幅を大きくしてたくさん入るように機能面も考えた。それが使い続ける動機になる。そうした要素が、カーボンニュートラル実現には大切になってくる。