【トップインタビュー】株式会社ルミネ 代表取締役社長 表輝幸氏(PR)

2023/09/13 00:00 更新


 (株)ルミネは表輝幸氏(前東日本旅客鉄道(株)常務執行役員マーケティング本部副本部長)が6月28日に就任したのを機に、新たな成長に挑む。「ザ・ライフバリュープレゼンター」としてさらに進化し、日本の未来を見据え、社会課題・地球課題の解決に貢献する企業を目指す。表社長に今後の企業像と重点方針を聞いた。

—ルミネの「未来」とは

 ルミネの未来はもちろん、日本の未来を考えると、イノベーションやグローバル化などで世界の中で後れを取り、競争力が下がっていることに危機感を感じています。日本の企業はものづくりの技術に優れ、成長ポテンシャルも高い。こうした技術力とソフト力をもっと生かし、新たな未来を築いていかなければならないと考えています。さらに、人財不足、カーボンニュートラルへの対応や、エネルギー問題、自然災害への対策など課題が山積しています。

 駅を中心にショッピングセンターを運営する企業として、こうした社会課題・地球課題の解決に貢献していく。ルミネの中心客層である若い世代や若いマインドを持つ人たちが未来を考えるきっかけを作り、その課題解決を通して世界に貢献できる企業を目指します。夢と希望にあふれる社会作り、未来創りをしていきたい。これがルミネの未来像です。

 人々にとってストレスになる課題が多くありますが、これらを社員やショップスタッフ、取引先などのパートナー、お客さまとともに、「楽しく」解決していくことが大切です。ルミネはそうした人たちと一緒になって、そのプラットフォームが作れる会社であると思います。その結果として、ビジネスフィールドも世界に広がり、世界に貢献できると考えています。これは持続的成長に向けたチャンスでもあります。ルミネから日本を元気にする発信をしていきます。

—そのためにすべきことは

 「お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」というルミネ理念を徹底すること。これは経営の神髄です。お客さまの「思いの先」に何があるかを汲み取って、お客さま一人ひとりにルミネのミッションである「ライフバリュー」を提案し、それをお客さまの期待以上の感動につなげることです。ルミネの社員、ショップスタッフを含めてこれを徹底していきます。その上で、お客さまがルミネに期待している「挑戦」をしていきたい。未来の夢や希望創りに挑戦することは社会にとっても、お客さまにとっても良いことであり、ルミネの存在価値でもあります。これを「ルミネらしく」やっていくことが大切です。

ルミネ理念を最前線で体現するルミネスト

「ルミネらしさ」とは

 ルミネは、目指すべき将来像の頭文字で構成された「ルミネSPIRAL」を掲げています。Sは「Sophistication(洗練されている)」、Pは「Partnership(お客さまに選ばれる)」、Iは「Identity(「らしさ」「品格」がある)」、Rは「Responsibility(責任を持つ、快さをつくる)」、Aは「Advance(次のライフスタイルを提案する)」、Lは「LUMINE(the Life Value Presenter)」から取っています。ショップスタッフやお客さまを含めたパートナーとともに、「R」が意味する社会的責任を果たし、「A」が示す「次のライフスタイルの提案」、お客さま一人ひとりの一歩先を見つけながら、さらに可能性を広げていく。これがルミネらしさです。


 その実現のためには、それぞれのショップの力を「足し算」ではなく、「掛け算」にして総合力を発揮していくことが重要と考えています。

—JR東日本が高輪ゲートウェイ駅周辺に25年3月にまちびらき予定の大型複合開発プロジェクト「TAKANAWA GATEWAY CITY」の商業ゾーン全てをルミネが担います。

 地球課題・社会課題の解決など未来に向けた取り組みを具現化する集大成の場となります。100年先に続く未来を見据えた「壮大な実験場」です。「実験場」だからこそ、フィードバックが必要。既存施設で様々なトライアルをショップの力を使って「掛け算」するプラットフォームを作り、高輪でも大胆に実践します。ルミネは進化し続け、その速度で「世界一」を目指したい。新しい技術やノウハウの導入も積極的に取り組みます。日本発の世界に通用するブランドも輩出していきたいと考えています。

—サステイナビリティー(持続可能性)も重要なテーマ

 カーボンニュートラル対策として、緑化などによってCO2(二酸化炭素)を吸収する仕組みなども高輪で具現化します。リアルとオンライン双方で蓄積したお客さまのデータを活用し、無駄な在庫を減らすための仕組みを作るなど、(衣料品などの)大量生産・大量廃棄問題の解決にもチャレンジします。また、ルミネのネット通販「アイルミネ」を活用したショップとの在庫連携をこの1年で進めていく予定です。

—グローバル戦略は

 日本のものづくりの素晴らしさを海外にも発信したい。特にものすごいスピードで進化するアジアに向けてPRする拠点を作っていきたい。世界の人たちがルミネとコラボ(コラボレーション=協業)して、地球課題・社会課題の解決につなげるための新しいサービス・価値の提供にチャレンジするオープンイノベーションの場を高輪にも作ります。

 海外店舗はシンガポールとインドネシアの2拠点。コロナ禍で売り上げが厳しい時もありましたが、ルミネの高い修正力と進化するスピードの速さが発揮され、業績もかなり改善してきました。情報の集約と交流の場として、海外の拠点は今後増やします。

 アジア全体を「一つの国」として捉えれば、ものすごく大きな成長マーケットです。ビジネスチャンスは大きいと考えています。ルミネのミッションである「ライフバリュー」を提案していきます。

ルミネシンガポール

—人財の活用については

 AI(人工知能)やチャットGPT(チャット生成AI)など人では到底敵わない作業を行う技術も進んでいますし、これを導入することも大切ですが、だからこそ人にしかできない価値が注目される。人こそがルミネの最高の宝物であり、その挑戦こそがルミネの神髄です。人こそが次の時代、未来を創ります。そのための環境を整えていくことがルミネの役割だと考えています。

 ルミネの社員も、ショップスタッフも、ルミネ理念「お客さまの思いの先をよみ、期待の先をみたす。」に共感し、お客さまに喜んでいただけることにやりがいを持って取り組んでいます。これはものすごい財産であり、「掛け算」にして総合力を高めていかなければなりません。ルミネでスキルを磨き上げた人たちが次のステージでさらに活躍できるような場も作らなければならないと考えています。

【profile】表 輝幸 氏(おもて てるゆき)早大大学院理工学研究科修了、88年に東日本旅客鉄道(株)に入り、00年駅弁事業を行う(株)日本レストラン調理センター社長にグループ最年少で就任。11年6月~15年6月ルミネに移り常務、専務。16年東日本旅客鉄道(株)執行役員事業創造本部副本部長、21年常務執行役員となり、22年同マーケティング本部副本部長、23年6月からルミネ社長。


株式会社ルミネ
https://www.lumine.ne.jp/

企画・制作=繊研新聞社業務局



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