20年春夏パリ・コレクション「コムデギャルソン」 装飾のエレガンスから服の抽象化へ

2019/10/01 06:29 更新


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 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20年春夏パリ・コレクションに、クラシカルなデザインを部分的に取り入れたスタイルが広がっている。パニエやバッスルなどの腰当てでスカートを膨らませたり、ドレスやブラウスの袖をレッグオブマトンスリーブにしたり。パール飾りやパールのアクセサリーを使うブランドも多い。16~17世紀のスタイル、エドワーディアン、ビクトリアンといったキーワードが浮上している。

(写真=大原広和)

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 コムデギャルソンは6月のメンズコレクションに続き、ヴァージニア・ウルフの小説「オーランドー」をテーマにした。12月のウィーンのオペラ座での公演の衣装で完結する三部作の二幕目となる。オーランドーは、主人公が男性から女性へと変わってしまう400年に及ぶ物語。当然、この小説をテーマにするということはジェンダーを巡る何かしらがキーワードとなってくる。

 実際に6月のメンズでは、男性らしさの象徴ともいえるテーラーリングを解体しながら男性らしさと女性らしさの間の新しい美を見せた。第二幕となる今回のコレクションではどう表現するのか。そしてそれは「トランスジェンダー」をテーマにした95年のコレクションと比べて、どう変化しているのか。そんなことを考えながらショーを待つ。

 しかし、そんな考えは最初のモデルがが登場したとたんに吹き飛ばされてしまった。川久保玲が考えていたのは、そんな単純なジェンダーレスではないことに気づかされる。確かにテーラードコートとドレスが一体化したようなアイテムや、パンツの内側をカットアウトしてスカートのようにしたアイテムもにある。

 しかし、ジェンダーを巡る表現というよりも、装飾的なエレガンスと、解体された服の概念との間にある歴史絵巻のようなものを感じさせる。風景画を取り入れたドレスはクリノリンのように立体的なフォルムで、どこかエドワーディアンのような中世のイメージ。花の装飾のドレスやジャカードのバルーンフォルムのドレスなども、重厚なエレガンス。

 それが次第に、解体され抽象化された服のようなものへと変化を遂げる。体全体が大きなプリーツスカートで包まれたようなドレス、ぽっかりとフロントに穴をあけたフェザーの筒のドレス。ぽっかりとあいた身頃の穴が、まるでその服とは別の場所に体が存在しているような不安や焦燥感のようなものを醸し出す。


 そしてコレクションは、黒の鋭利なカットのアイテムに向かって突き進む。重厚なサテンの重みのある袖だけでできているようなトップに袖が大きく垂れ下がるアイテム。それは、もはやジャケットとかコートというような固有のアイテムというよりも、服を抽象化した概念のようなパーツ。しかし、それが放つエネルギーがとてつもなく大きい。

 「メンズコレクションと続いています。最後の方が新しいですよね」とショーを終えた川久保玲は言う。今回のコレクションは、前回のメンズの続編ではあるものの、オーランドーのストーリーを追ったものではないようだ。変革と自由を求めたバージニア・ウルフの姿勢に共感して作ったという。次は、いよいよ第三幕のウィーンでの発表となる。

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