都内百貨店の春節商戦 売り場環境の整備進む

2019/02/04 06:30 更新


 中国の春節(旧正月)連休(4~10日)に合わせた取り組みが都内の百貨店で始まっている。今年は大きなMDでの打ち出しというよりも、今後のインバウンド(訪日外国人)需要を見据えて売り場の環境整備を進める店が多い。

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 伊勢丹新宿本店は、18年9月27日に本館地下2階に免税カウンターを増設した。免税カウンター8席、海外配送受付カウンター2席を増設し、ゲストカードカウンターを新設。リピーターに向けたコンサルティングサービスを始めたほか、自動免税機の設置(本館地下2階)、免税手続きの電子サイン化(本館地下2階、6階)なども実施した。

 小田急百貨店新宿店も免税カウンターを1月21日に本館4階に拡大・移設した。面積は約2倍に広げ、パソコンも2倍に設置可能となった。従来は待機場所がなく、カウンター外に長い列ができていたが、カウンター内に待機できるようになった。

移設した免税カウンターの様子(小田急百貨店新宿店)

 そごう・西武は、昨年よりも約1カ月前倒しで春節特設サイトを開設。KOL(中国のインフルエンサー)を活用したライブ動画配信などを実施している。そのほか、ウィーチャットペイを活用した割引キャンペーンも実施。デジタル発信などのインフラ整備を強化した。

 百貨店のインバウンド売り上げは昨年の1~12月の累計で3396億円と過去最高を記録するなど好調が続いている。そうした中、「一時期の爆買いから買い方が変わってきている」(三越伊勢丹)という。インバウンド客もコト消費や体験を重視するようになってきている。そのため、リピート客になってもらうためにより良い売り場環境、買い物体験をしてもらうために環境整備を進める店が多いようだ。

 「ここ数年で売り場のオペレーションも整い、対応がこなれてきた感はある」(松屋銀座本店)など、販売員の体制づくりや対応が落ち着いてきたとの声も聞かれる。アリペイやウィーチャットペイなどの決済への対応も各社で進む。これからは「春節だから」というよりも19年、20年と先を見据えたリピーターの獲得や継続的なインバウンド需要の創出、何度も足を運びたくなる売り場づくりが焦点になりそうだ。



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