【ロンドン=若月美奈通信員】紛争やテロが続く不安な社会情勢を反映して、18年ロンドン・メンズコレクションは反戦や平和へのメッセージを掲げるデザイナーが多い。同時に、過剰なデジタル情報に息詰まりを覚える現代社会への懸念を訴えるブランドもある。様々なスローガンを多用したり、どことなく癒やされるソフトな色や素材使いが広がった。ミリタリー、そこから続くサファリや砂漠のイメージも多い。
リアム・ホッジスはだらりと袖が長いシャツやセーター、パンツにタックインして着るフードパーカ、ドローストリングスパンツといったスタイルに、「ノイズ」というキーワードが随所にのせられている。オーディオ、メディア、政治など様々なノイズを遮断しようというメッセージだ。大きく口を開けたクマのモチーフもキーとなっているが、これはエドヴァルド・ムンクの「叫び」を表現しているのだという。主張性の強いコレクションをカーキや水色、優しいピンクやオレンジをのせたリラックスしたアイテムで綴った。
リアム・ホッジス
オリバー・スペンサーはロンドンへの思いを示す「ラブ・タウン」をタイトルに、温かみのあるピンクとブルーを基調としたコレクションを見せた。パーカやブルゾンと並ぶアウターは、ノーカラーのテーラードジャケット。暑くなったらリュックサックのように背負うコートやジャケットもある。アーティストのデビッド・オースティンが描いた「ラブ・タウン」など3種類のメッセージTシャツは、ショー開始と同時にSNS(交流サイト)のヴェロで発売された。
オリバー・スペンサー
クリストファー・レイバーンは第2次世界大戦中、シベリアからインドまで歩いて脱出したポーランド軍中尉の物語「脱出記」をテーマに、過酷な天候の中を旅するサバイバルウェアを、ライトグレーとオレンジを基調とした軽やかなスタイルに落とし込んだ。ゴビ砂漠からの着想による砂漠迷彩のブルゾンやカラーブロックのトップ。そこにチュールのブルゾンを重ね着する。「リメイド」や「リサイクル」の文字が織られたテープのアクセントも随所に見られる。
クリストファー・レイバーン
(写真=catwalking.com)