「カルバン・クライン」のアンダーウェアがヒットするなど、90年代リバイバルが止まらない。そんな中で、90年代ミニマリズムを代表するブランド、ヘルムート・ラングが、新世代のデザイナーと協業してカプセルコレクションを作るプロジェクトをスタートした。第1弾に選ばれたデザイナーは、17年春に休止した「フード・バイ・エアー」(HBA)のシェーン・オリバーだ。
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細みのシルエットにアンダーウェア、拘束のディテール、透ける素材といった要素は、確かに90~00年代初頭のラングにあった。しかし、期待していたラングのリブートとは全く異なる世界が広がった。
フェティッシュで倒錯的な部分ばかりを激しく拡大し、これでもかと見せつけてくる。それは、HBAの世界そのままともいえるのかもしれない。当時のラングだって、挑戦的なアティテュードが強くあったからこそ支持されたわけだが、挑戦的であることと、やんちゃが過ぎるというのは別物だ。
とはいえ、あのころのラングそのままが欲しいなら、今秋冬からスタートしているアーカイブの復刻ラインを買えばいいだけ。今の時代のデザイナーがラングをどう解釈するかを、余裕を持って楽しむというのが、このプロジェクトのだいご味なのかもしれない。「ショーを見たいのにチケットが出ない」の声を何人もから聞き、話題性という点では大成功だったと言える。

(五十君花実、写真=catwalking.com)