悉皆プロジェクト 古くからの精神をかっこよく現代に ライフスタイルを彩るアイテムで

2014/03/07 09:46 更新


 今こそ、限りある資源を大切にしよう――そんな思いを込めた「悉皆(しっかい)プロジェクト」が始まった。日本に古くからある、全てをことごとく使い尽くそうという精神に学び、糸や生地の端切れ、ビンテージパーツなど、さまざまな素材にこだわって新しい物作りに取り組むもの。24日に閉幕したJFW インターナショナル・ファッション・フェア(JFW‐IFF)で初披露、さらに活動を広めたい考えだ。

  集まったのは、間伐材を都会的に利用する一級建築士や何十年もメンテナンスできるニットを販売する編み物作家など、専門性の異なるデザイナーやクリエーターだ。日本にはリサイクルやリユースといった言葉が使われる以前から、洗い張りや染め直しなどをしながら雑巾になるまで大切に使う文化がある。その精神と未来への物づくりで共通するクリエーターがつながることで、「もったいない」や「おもてなし」と同じように、「世界に、悉皆と言う言葉も広めていきたい」(発起人代表のわたなべけいこさん)という。

 「使われないものイコールゴミ、というイメージを変えたい」と話すのは、人形の展示販売を目指す柳田依久子さん。使っているのは、デニムメーカー大手のカイハラの工場で出る残布や取引先向けのデニムカレンダーだ。感触と表情にこだわり、抱き心地の良いデニム人形を作っている。ゴリラや赤ちゃんなど表情の多彩さが売り。手作りのため、小さいもので3日、大きいと2週間かかるが、量産についても検討中だ。

 ハンドメードのアクセサリー「ピンク・プードル」の丸山みのりさんも、カイハラの残布を使い始めた。欧米で見つけたビンテージパーツで一点物を作り、雑貨店やネットなどで販売しているが、「本当に小さく、他の物には使えないようなデニムの残布」も組み合わせて、雰囲気のあるブローチなどに仕上げている。価格も2800円からと手頃な商品が揃う。

 クリエーターをつなげ、プロジェクトを立ち上げたわたなべさんは、リペア、リフォーム、リメークの3Rを行い、物づくりの質を高めていくリクチュール活動も進めて3年目。「服だけでなく、さまざまなアイテムで悉皆の考え方と皆の熱い思いを伝えられたら」と話している。 

ビンテージパーツやデニム残布で一点物のアクセサリー
ビンテージパーツやデニム残布で一点物のアクセサリー
抱き心地満点の大きなゴリラ人形は製品化されなかったデニムで作ってある
抱き心地満点の大きなゴリラ人形は製品化されなかったデニムで作ってある

(2014/02/03付)



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