今年3月に予定するコスメ専門モールの開設に伴い、肌色計測ツール〝ゾゾグラス〟を開発したゾゾ。ゾゾスーツ、ゾゾマットとユニークな計測ツールの開発を続ける背景と、データ活用に対する考えを、担当役員の伊藤正裕ゾゾ取締役COO(最高執行責任者)に聞いた。
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――開発の背景は。
テクノロジーを通して、実店舗で買った時の安心感をネットでも提供したいと考えました。ゾゾマットもゾゾスーツもそうですが、使って頂くとLTV(顧客生涯価値)が上がります。私たちはSNS企業ではないので、様々な計測値は一切売り物ではありません。データは全て、お客様へのご提案の精度を上げるために使います。AI(人工知能)の精度は教師データの多様性と量があってこそですから。
――具体的には。
これらの情報をつなげ、ゾゾタウンをよりパーソナルにしていく段階に入りました。今のゾゾタウンは残念ながら、誰が開いても同じ画面が出てきます。これを、お客様に合わせて変える必要があります。ファッションは普通の購買情報や属性情報ではうまく精度が上がらないのですが、我々にはファッションコーディネートアプリ「ウェア」や様々な計測データがあります。これらを結集し、お客様に合ったゾゾタウンを提供します。まず、ゾゾコスメのリリースのタイミングで、ゾゾタウンのサイトを刷新し、見た目が大きく変わります。その後、検索が良くなったり、トップページに自分が欲しいものが出て来たりと、パーツごとの改良を続け、気づいたらすごく便利になっているという1年になるでしょう。
――他社との協業は。
ゾゾスーツ2は協業を希望する企業を募り、国内外から声をかけて頂きました。また、初代のゾゾスーツでは200万人の計測結果があります。そこから得たサイジングの統計情報をブランド側に提供し、MDに生かして頂くことができます。靴も約130万人の足の計測データがあり、追ってシェアできればと。もちろん個人が割り戻せない統計値として。コスメもそうした活用があるかもしれません。
――グループ間での連携は。
日本最大のインターネットグループですから、相互の国内送客も進めます。従来顧客より少し年代の高い方が、ヤフーや、3月にグループに入ってくるLINE経由で来た時にも、気持ち良く使っていただける画面を用意すべきです。そのためにもパーソナライズは必要です。このほか、チャットなどウェブ接客にもトライしています。店舗在庫連携などもそうですが、このプラットフォームに載っているお客様にとって、より便利なツールを提供したい。それは少しでもUX(ユーザーエクスペリエンス)を実店舗に近づける、または店舗以上にする道筋の一つと考えています。
(繊研新聞本紙21年2月1日付)