YKK ベトナム・ハノイ郊外に新工場 19年後半に稼働

2018/09/21 14:11 更新


 YKKのベトナム現地法人、YKKベトナムは今月、ハノイ郊外にファスナーの新工場の建設を開始し、19年後半をめどに稼働する。敷地面積は約8万平方メートルで、設備投資額は約5990万米ドル。新工場では仕上げ工程と、ファスナーテープの生産も一部行う予定で、同国北部の縫製工場へより早く供給できるようになる。

 既存工場はホーチミン近郊のニョンチャックにあり、増産投資を重ねてきたが、今なお「想定以上に需要が拡大している」(敷田透社長)という。北部でも衣料品の縫製数量が増えているほか、「より短納期を求める顧客が今年になって一気に増えた」として、新工場が北部の需要に素早く応える構えだ。

 新工場はハノイの中心市街地から高速道路を利用して南に約1時間。ハナム省に整備された工業団地に建設する。ニョンチャックの工場と合わせ、ベトナム南北でファスナーを供給できる体制が整う。

YKKがハナム省に建設する新工場の外観イメージ

 背景には、北部の縫製需要が予想以上に拡大してきた上、短納期が求められるようになってきたことがある。敷田社長は「欧米のスポーツブランドや大手小売業といった主要顧客が生産のリードタイム短縮を狙って、縫製地で生地や副資材を調達したいという要求が今年になって顕著」と強調する。

 さらに、ベトナムでは大きなロットがまとまる定番商品の発注が期初にあるものと構えていたが、「売れ筋の追求や機会損失の抑制などを目的に、多品種を求める声や期中対応も増えてきた」という。このため、ベトナムでの生産数量のうち、短納期の商品は前年が10~20%だったのに対し、今年は少なくとも40%まで高まっている。

 一方、多品種、短納期の要求が増える中、ニョンチャックの工場敷地内に今春開設したR&Dセンターの役割も高まってきた。稼働して以降、スライダー(持ち手が付いている部分)のデザインなど「予想を上回る開発の依頼が舞い込んでいる」状況で、商品のバリエーションが広がっている。環境配慮型商品を求める声も多く、再生材を使った「ナチュロン」など需要の拡大を見込む。環境配慮型商品の開発は、同センターの主要テーマで、産学連携による研究開発にも取り組み始めた。



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