大手と言われるアパレルメーカーや専門店では今や、外部から経営者を招くことが珍しくない。業界出身で複数の企業の再生や再建で実績を上げたり、外資や金融、デジタルなど異業種出身のコンサルタントなど〝プロ経営者〟も少なくない。多くが不採算事業の構造改革で損益を改善し、次の戦略への布石を打つ。
しかし、一時的に損益を改善できても、次の成長戦略が難しい。デジタル技術で先行する米国や日本の企業を手本にしても資本力が弱い。資金が調達できても、競争力を創出できるかどうか。プロ経営者にとっても見極めが難しいからだ。
そこで現在、注目されているのが「創業の理念」。多くの企業が設立趣意書などで構想し、時が経っても経営理念として保持されているはず。例えば、終戦直後に設立した企業は「国民の生活文化の向上に寄与する」といった理念を掲げる。
競争は激しく、事業性が認められれば、後発企業が必ず現れる。売り上げや利益を上げるためだけの手段であれば、利用者に見透かされる。最後に競争力の決め手になるのは「何のため」かだろう。(矢)