男性の育児休業の取得を促す官民の動きがこの数年活発だ。厚生労働省は2月、従業員100人超の約5万社を対象に、男性の育休取得率の目標値設定と公表を義務付ける方針を固めた。労働人口の減少を背景に女性の社会進出の重要性が増す一方、家事・育児の負担が障壁となっている。「男性は仕事、女性は家庭」の社会通念は容易に変えられない。「年収130万円の壁」の課題も残る。
男性のさらなる家事参加が強く求められているが、女性の社会進出が進まないことの矛先が、男性にばかり向いていないかと気になる。日本は世界に比べて家事・育児時間の男女差が大きいのは事実だが、家事・育児への協力を男性の努力だけに委ねていては続かない。男性の「育児うつ」も認知され始めている。周囲の理解を深めたり、育休を取得する上での不安を和らげる働きかけをこまやかにしていく必要があるのでは。
男性の育休取得が女性の社会進出を支える手段ではなく、性差を超え、多様な生き方や家族の在り方を受け入れる社会の基盤にあってほしい。そう願うのは奇麗事だろうか。
(麻)