《視点》大転換期

2024/02/16 06:23 更新


 「客数の戻りは他社に比べて早い方かもしれないが、19年比ではまだ」――ある小売企業の取材で出た言葉だ。客数減も既存店売上高は好調との業界動向に触れた質問の回答に戸惑った。消費者の生活や事業環境は5年で変わった。「19年比」に違和感を覚えたのだ。

 この数年は様々な変化があった。大きかったのは、〝物の所有〟から〝内面の豊かさ〟に関心が移ったことかもしれない。20年ごろに浮上したスピリチュアル消費やライフスタイル提案が象徴する。

 今、00年前後のスタイルが再燃している。さかのぼれば、80年代後半の「渋カジ」から90年代に生まれた「マルキュー系」ときて、00年代後半に海外ファストファッションが進出。環境への意識が芽生え、価格競争の中で安く服を売るための大量生産を見直し、〝長く着られる〟や〝価値〟を探る動きがいよいよ本格的になり始めたのが5年前だったと思う。

 まさに今、大転換期に立っている。暮らしに彩りや感動を与え、内面的な豊かさを得られる商品やサービス、人との交流がこれからのカギかもしれない。

(麻)



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