地方の伝統工芸や民芸品が再注目されている。裏原系ストリートブランドのデザイナーでも民芸品を愛用する人が多い。そのブランドの往年のファンも一見異なる民芸に興味を示す人が増えているという。
器などの工芸品を扱うレディスのセレクトショップも以前から増えていたが、最近特に目立つ。「衣・食・住・遊」など異業種を含めたライフスタイル全般を提案することが求められている。
「昔ながらの工芸・民芸店がセレクトショップのルーツではないか」と力説する業界人もいる。店主が全国の手仕事による器や布など暮らしの道具を目利きして集め、生活者に届ける役割を担う。すでに70年代には東北の工芸店がファンコミュニティーの場としても機能していた。
ただ、老舗工芸店の中には今の注目のされ方にとまどいを覚える部分もあるという。一部の窯元に注文が殺到して供給不足に陥り、商品が買いにくい状況になっているようだ。
ファッション業界人は異業種も含めた幅広い流行に敏感で、時に商品の魅力を再発見する役割を担う。ただ、単に飛びつくだけでは一過性の盛り上がりに加担するだけで、民芸品市場そのものが荒れてしまいかねない。互いに発展していくためにはどうすればいいか。働く人や既存の流通経路など、商品だけでなく市場全体について考える必要があるだろう。