高島屋日本橋店の高島屋史料館TOKYOで「百貨店展」が開催されている。副題は「夢と憧れの建築史」。こぢんまりしたスペースだが、以前の百貨店の建物の写真を散りばめた大きな年表をメインに展示している。これを見ると明治・大正期の百貨店の建物でひときわ立派に感じたのは白木屋だ。写真で見る限り、ほかの有力百貨店よりも威風堂々としている。火災事故で有名だが、他にない格や上質感が魅力を高めていたのだろう。
白木屋は後に東横百貨店と合併し、白木屋を継承した日本橋の店舗は99年に閉店してしまった。戦後、百貨店は大衆化し、家族で普通に訪れる場所になった。記者も岩田屋や井筒屋などにわくわく感を感じながら訪れたものだ。子供のころはおもちゃ売り場が楽しかった記憶がある。しかし、今や百貨店は激減した。先日、木更津を訪れたが、百貨店跡の商業施設をのぞくと嘘のように閑散としている。地方だけでなく大都市でも営業を終了するケースが目立つ。
ECがかなり広がって、実店舗の魅力が一層求められている。百貨店はわくわく感、期待感など店に入ると感じる魅力を再び備えることができるのか。百貨店の年表を見て斜陽の歯止めがならないものかと強く感じた。
(武)