先日、各地の産地の機業場が多く集まる交流会に参加させていただく機会があった。衣料から産業資材用途まで幅広い機業場同士の交流というだけあって、かなり率直な意見が飛び交った。その中で、ある機業場から「最近、国内回帰と思われる受注が入ってくるが、値段が安いしどう対応しようか悩んでいる」といった話があった。その際、別の機業場が「そんなのは受けなければいい。海外で出来ないから日本に戻ってくるわけで、どうしても必要なら単価を上げてでもまた頼んでくる。自ら合わない値段で受けるのは自分の首を絞めるだけ」とバッサリ言い放ち、強く印象に残った。
確かにそうだなと得心した一方で、何とかして受注を確保したいという機業場の気持ちもわかる。でもそれが自らの首を絞めてきたならなんともやるせない。ビジネスは、本来もっと対等な関係であるはずだ。
円安は一時的なものかもしれないし、また受注は海外に行ってしまうかもしれない。しかし、今回の円安やコロナ禍による物流・生産の混乱で、やはり国内の生産基盤は重要と、思いを新たにした企業も多いだろう。国内で物を作れるという強みは他に代えがたい。機業場がその強みを生かして生き残っていく転機が訪れているように感じた。
(騎)