《視点》シフトカット

2022/06/30 06:23 更新


 とあるショップのパート販売員から「これってありなんですか」と尋ねられた。ベテランである自身がそうされたということではないけれど、新任の店長は、ちょっと手が空いていると「帰ってください」と販売員を帰してしまうとのこと。早く帰った分の賃金は支払われない。コロナ禍で営業時間に制限があった時の話でもなく、シフトカットの一種なので「なしです」と答えた。尋ねた販売員は「やっぱりね」。

 けっこう話題になった問題なので店長は分かってやっているのだと思う。パートの販売員はもめたり騒ぎになるのを避けるから、何も起きないことも分かっているのだろう。

 このショップの企業、実は業績が悪く、立て直しが求められており、いくつかの施策が打たれている。そうした中で、店にはコストカットの圧力がかかっており、店長は〝がんばって〟応えているというわけだ。騒ぎにならなければ、早く帰した分は経費削減になるのだが、本当はそれで済む話ではない。

 くだんの販売員は、人が急に減って忙しくなることに不満もあるのだが、「そんなことを見ていると嫌になってくる」とのこと。反転するために最も大切な現場の士気を削っている。

(光)



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