《視点》コロナが浮き彫りにしたもの

2021/08/10 06:23 更新


 とあるネットニュースの記事で見た話が印象的だったので紹介したい。アイスクリームを製造販売する「ブルーシール」が、コロナ禍で観光業が打撃を受けたことで売上高が大幅に減少、地元沖縄に向けた販売戦略にシフトし、業績改善を図っているというもの。

 記事によるとブルーシールは「20年は前年と比べ7億5000万円もの減収」を余儀なくされたという。その中で山本隆二フォーモストブルーシール社長が語っていた「沖縄に観光客が増えたのはブルーシールの力ではないのに、勘違いしていた」という言葉が印象的だった。

 これは、様々な企業においてコロナ禍によって浮き彫りにされた現実であると思う。例を挙げれば百貨店業界もそうだろう。インバウンド(訪日外国人)売り上げが増えていた背景には様々な要因があり、必ずしもその業界があったからではない。好調なときこそ「なぜ伸びているのか」冷静な分析が必用だ。

 また、山本社長は観光客をスナック菓子のおまけ、菓子を沖縄県民に例え、「付録に魅力を与えても中身がチープではだめ」と語る。当たり前の考え方ではあるが、店やブランドそのものの魅力を高め、時代や世間に左右されない盤石な基盤を作り上げることが大切であると改めて考えさせられた。

(海)



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