《視点》デジタルでの倫理

2021/04/23 06:23 更新


 最近、「ダークパターン」という言葉を、IT系ネットメディアの記事で知った。サイトやネット広告で、人間の認知の傾向を利用し、消費者を本人に不利な行動へ誘導するデジタル設計を指す。欧米では規制が進むが、日本ではそれほど注目されておらず、企業のモラルに任されているという。

 例えば、購入すると定期購入になってしまい解約しづらいサイト設計や、特定の選択肢のボタンを目立たせるデザイン、読みにくい規約への同意を必須とすることなどが当てはまる。記憶に新しい、大手携帯電話会社が自社サイトでサービス解約ページを検索しにくくしていたという件も、それに当てはまるだろう。

 ボタンを目立たせるといった手法は、日常的に目にしている気がする。自分の経験上、消費者は、その時は仕方ないと受け入れてしまいがちだが、確実に不満がたまっていく。EC利用が伸びている今こそ、顧客満足度を高めるためにも、デジタルの設計思想にまで倫理観に即した、より細やかなユーザー視点が求められるだろう。

(稜)



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