産地企業に就職を希望する若者が増えている。「産地の学校」を運営する糸編の宮浦晋也代表が、その理由を二つ教えてくれた。一つは、服が好きで、物作りの仕事を志す人が、製造現場や職人に憧れを持つようになってきたこと。就職先を選ぶ際も自分のやりたいことが最優先で、給与や待遇にはあまりこだわりがないそうだ。服飾専門学校だけでなく、一般の大学の卒業生が産地企業に就職する例も珍しくなくなってきた。従業員の高齢化や後継者不足に悩む産地にとって、とても明るい兆しだ。
もう一つは、SNSにより、アパレル企業のネガティブな情報が目に入るようになったこと。「あの会社はデザインさせてもらえない」「実は外注」「OEM(相手先ブランドによる生産)企業に丸投げ」。ツイッターで最近、アパレル従事者と思われるアカウントが企業の内部事情を暴露するかのような投稿が相次いでいる。中には企業の生産管理担当だとわかる書き込みも。アパレル業界を目指す学生も意欲が失せるような愚痴の数々だったそうだ。
SNSに関する社員教育や管理は必要だ。ただ、情報流通の主役が生活者に移った今、企業が信頼を得続けるために、ビジネスを透明化することも大事では。雇用のミスマッチも防げるはずだ。
(侑)