大学生になった次男が先週、海外ブランドの服・財布・リュック3点を大人買いした。春からアルバイトを複数掛け持ちし、淡々と働いて小遣いをためていたが、その使いっぷりはスカッとするほどだった。
今夏は例年にない値引きのようなので、本人は大満足の様子。でも「なぜ、このタイミング?」と聞くと、「ここまで使い道がまったくなかった」という。
本来ならば、新しい友人と出会い、時間もお金も新生活に費やしていたはず。しかし入学式はなくなり、講義はすべてオンライン。テレビ電話で高校時代の友人と音信を取り合う以外は、ユーチューブばかりで、どこかに行こうとするモチベーションさえ見えなかった。
ところが夏休みに入って、高校の友人に対面で会うようになると、彼らなりの〝平穏〟を取り戻したのか。友人の格好や持ち物、生活ぶりを見て、それぞれが気になる物事を語り合ったりして、急に「物への購買意欲」が出てきた。親としても何となく安堵(あんど)できてもいる。
店舗に客足が増えない、会話が十分にできない今、販売員のモチベーション低下が危惧されているが、お客を待つだけでなく、お客とじっくり会話し、潜在的欲望を引き出す環境作りが求められている。
(疋)