《視点》デザインに求められるもの

2020/06/22 06:23 更新


 大手コンビニチェーンの自社ブランドの新しいパッケージデザインが、SNS上で波紋を広げている。ベージュなど淡い無地をベースに色合いを統一し、字やイラストを小ぶりに配置する。一見するとミニマルでおしゃれだ。しかし、買い物客からは、見づらく選ぶのに不便との声が挙がっている。

 近づいたり手に取ったりしないと隣の商品との区別がつきづらく、色合いの統一などでアレルギー表示や注意書きなどの表示も目立ちにくい。切り替えの過渡期にあり、大きな商品名や写真、コントラストの強い配色を使った旧デザインと並ぶと、その違いは歴然だ。ユニバーサルデザインに反するとの専門家の指摘もある。

 コンビニがインフラ化している日本では、若く高感度な健常者だけでなく、高齢者や視覚障害者など多様な客層の利便性を想定することが、企業の社会的責任と言えるだろう。

 デザインの役割は美的感覚を刺激するばかりではない。デザインという語は、「指示する、表示する」の意のラテン語に由来する。機能的に商品やその背景を伝えることこそ、顧客の快適性を高めるために欠かせない要素だ。国際的にエシカル(倫理的な)がビジネストレンドから基本になりつつあるなか、ファッションに付随する様々なデザインも、変化が求められているかもしれない。

(稜)



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