緊急事態宣言に伴う店舗休業で動画配信に着手した企業が多い。手軽なインスタライブは店舗再開後も毎日のようにどこかのブランドディレクターやショップスタッフが配信している。
ある大手専門店のレディス業態は、各店舗でインスタライブを実施。記者が取材した大阪の店舗は、台本を入念に準備していた。生地の肌触りや見え方、機能性やどんな女性に見えるかまでも細かく記載。その理由を「可愛いですよねーとか、ありきたりの言葉でしか表現できていないインスタライブはつまらなかったから」という。
昔取材した販売員で、忘れられない方がいる。語彙(ごい)力を磨くため日本語を美しく話す勉強に励み、例えば「こちらでお着替えください」は「お召し替えはこちらでございます」といった言葉を選ぶ。「この販売員は他の人と違うなと印象に差をつけたら、接客を受けたいと思ってもらえる」と力強く話す姿が印象的だった。
接客に限らず、オンラインでの発信、コミュニケーションが増える中で、語れる力の重要性に改めて気づいた人は多いのではないだろうか。対面ではノリやニュアンスで乗り切れていたことも、オンラインでは通用しない。インスタグラムの流行でビジュアルをいかに良く見せるかが先行していたが、語れる力をどう養うかにも関心が高まりそうだ。
(金)