新しいヒット商品を作るには、まずは市場の前提を疑うべし。最近の取材を通じてその大切さを改めて感じた。あるコスメブランドは、業界で当たり前のように使われていた成分を思い切って変えることで化粧崩れなど使用感の課題を解決し、女性の支持を得た。「自分だったら」というユーザー目線の自由な発想によるものだろう。
身の回りでも、「これは目からうろこだけど確かにそうだね」というソリューションを見つけることができる。アイデア商品の宝庫である文房具で例を挙げると、四角いスティックのり。これまで当たり前のように丸いのりを使っていたが、紙の端まで塗りづらい、はみ出るといった経験をした人は多いのでは。四角いキャップだと気密性が落ちるという課題は、キャップを丸形にしたら解決したという。
そもそもその素材や形は必要なのか掘り下げてみると案外、生産や管理のしやすさなど企業側の都合で採用していただけかもしれない。おしゃれに、快適に、便利にといったユーザー価値を邪魔している要素を洗い直してみるのも一案だ。
(石)