「目指すのは、顧客と一緒に種をまき、その畑で採れたオーガニックコットン(OC)をその企業に使ってもらうこと。ここからここまでは○○ブランドの畑、みたいになれば最高」と話すのはスタイレム瀧定大阪の髙森俊滋オーガニックフィールド室室長。
根強い需要があるものの綿花全体の約1%に過ぎないOC。生産量を増やすにはインコンバージョン(移行期間)問題の解決が欠かせない。
OCととうたうには3年以上化学肥料や農薬を使っていない畑で栽培し、GOTSなど第三者認証も必要になるなどハードルが高い。そこでスタイレム瀧定大阪はインド企業と提携し、種を無償提供して移行期間も農家からわたを買い取る「オーガニックフィールド」の取り組みを21年から始めた。提携農家は増え、失敗から得たノウハウの共有などで年間生産量は300トン(糸換算)にまで増えてきた。
様々な糸や生地が作られるようになり、重要になってくるのが出口戦略だ。従来のファッション向けに加え、一定の需要が見込めるデニムやカットソー、タオル向けなどを意識的に増やし、出口を広げる。
髙森室長は、顧客との取り組み拡大の鍵を〝愛着〟とみる。「自分たちの畑と思ってもらえると、取り組む深さが大きく変わる」という。日本、欧米、世界で「一緒に育てようよ」と呼び掛けている。