《視点》勝ち残りのモデル

2019/09/03 06:23 更新


 EC専業を含めた通信販売企業は、実店舗を基本持たず、商品も手に取れず、しかも販売者の正体も見えないのだが、「客との距離が意外に近い」という。継続利用者はその企業が提案する価値を読み取り、働く人にまで愛着を持ってくれているのだという。

 その中で大事になっているのは「商品の背景」と「夢や希望」を伝えること。この商品を使えば、楽しく便利な生活になるという思いや願いが膨らむことが大切で、商品を発売したという情報だけでは、なかなか購入に至らなくなっている。

 ただ最近は、戸別配送費の増加、ECシステムや人材への投資コスト負担もあって、これまで縮小していた実店舗の価値が見直されている。商品を手に取れ、来店客が残す声や要望を定性的に拾える場として強化対象にもなってきた。

 実店舗の対面接客で1客に深い満足度を提供し、併行して通販で多客と適度に良好なコミュニケーションを取ってもらう関係作り、そしてコミュニケーションデータを迅速に解析して、細かなニーズに応える新たな挑戦の連続が、これからの小売りの勝ち残り方になった。

(疋)



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