《視点》うつわ沼

2019/03/13 06:23 更新


 SNSを見ていると、友人、知人が今、何にはまっているか、言わば「沼っているか」がよく分かる。

 最近増えているのが、〝うつわ沼〟。老舗磁器ブランドのアバンギャルドな新作を、あれよあれよという間にシリーズ全揃えしていたり、個展に入場制限がかかるような人気陶芸家のコレクションを着々と増やしていたり。そんなところからも近年ファッション感度の高い消費者が、暮らしにまつわるアイテムにもしっかりアンテナを伸ばしていることが伝わってくる。

 先日取材したテーブルウェア・フェスティバルでも、メイン顧客層の50代に加え、近年30~40代の来場者が増えていると聞いた。このため、「マインド的には30代に向けたゾーニングを心がけている」とのこと。かつて熟年女性から支持されていたようなクラシカルなデザインの陶磁器よりも、日常の暮らしになじむ器やテーブルセッティングの品揃え、演出に工夫を凝らしているそうだ。

 一方で、自身も含め、気になるジャンルは増えたとしても、給与が比例して増えるわけではなし。どこを削って何にかけるかの選択と集中が、よりシビアになるな、とも感じる今日この頃だ。

(維)



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