「新しい服を着たいけど、面倒くさい思いをしてまで欲しくない」。そう思っている消費者がマスであることを、服が好きなアパレル業界人は忘れがちだ。
ファッションの優先順位は相対的に低くなった。働く女性など忙しい日常を過ごす人も増えた。スマートフォンを見れば情報はあふれかえっている。「週末は家族との時間を過ごしたい」「ネットに情報が多すぎて、何を選んでいいのかわからない」と、服の買い物は後回しになるのは自然だ。
限られた時間をいかに有効活用して、気に入った服に出会えるか。そうした層を取り込んでいるのは駅ビルとECだろう。しかし店は、移動や持って帰るのが面倒で、そして疲れる。ECは試着できないため失敗するリスクや、どうしても比較検討を余儀なくされるストレスがあり、サイト滞在時間=悩む苦しみの時間といった側面もある。
そうした声を拾っているのがストライプインターナショナルやスタートトゥデイ、エアークローゼットだ。スタイリストが選んだ商品を客の自宅に届け、客はサイズや手持ちの服とのコーディネートなどを確認して気に入ったものだけを購入できるパーソナルスタイリングサービスや、定額レンタルという選択肢を提示して、服から遠ざかっていた客に近づいている。(藤)