《視点》藤井六段の棋風

2018/03/09 04:00 更新


写真はイメージです

 快進撃が続く将棋棋士の藤井聡太六段の強さが気になって仕方がない。なぜ、あんなに若いのに多くの実力者に勝てるのか。棋譜を見ながら素人なりに分析してみると、確かに多くの識者が指摘するように、「桂馬」の使い方がうまいと感じる。

 斜め2方向にしか進めない桂馬は、扱いが難しい駒だ。いったん前に出てしまうと、後ろに戻れないため、一番弱い駒の「歩」にさえ追われる。使い勝手が悪く、とりわけ初心者はなかなかうまく使いこなせない。

 藤井六段の師匠である杉本昌隆七段によると、藤井六段は将棋盤という平面上での戦いにもかかわらず、思考を立体的に行うため、周りにある障害物を飛び越える駒運びができるという。

 弱い駒を有効に使いこなすことで勝負を制す――。これは会社組織の運営にも応用できる考え方だ。扱いづらい社員も、うまく使いこなして、その長所を引き出すことができれば、威力を発揮し、組織力は高まる。そんな気付きを得られる藤井六段の将棋から、ますます目が離せない。

(潤)



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